ゴルフ場でプレー中に「今日はプリファードライです」と言われて困ったことはありませんか?
プリファードライは初心者の方にとって少し混乱しやすいルールですが、正しく理解しておくとスコアアップやスムーズなラウンド進行につながります。今回はプリファードライの基本から実践方法まで、わかりやすく解説します。
プリファードライとは?基本的な意味と目的
「プリファードライ」の意味と語源
プリファードライ(preferred lies)とは、コースコンディションが悪い時にボールの位置を少し改善してプレーできるローカルルールのことです。
英語の「prefer(好む)」という言葉から来ており、「より好ましいライ(ボールの置き場所)」という意味があります。ぬかるみや芝の薄いところなど、悪いライに止まった場合でも、少し動かして良い条件でプレーすることを認めるルールなんです。
ウィンタールールや6インチルールとの関係
プリファードライは別名「ウィンタールール」や「6インチルール」とも呼ばれます。
「ウィンタールール」という呼び名は、冬場のコースコンディションが悪い時期によく採用されることから来ています。また「6インチルール」はボールを移動できる距離が一般的に6インチ(約15cm)であることから付いた名称です。
プリファードライが存在する理由
プリファードライが存在する理由は主に2つあります。
- コース保護:悪天候でぬかるんだコースを保護するため
- プレーヤー保護:過酷なコンディションでも公平に楽しくプレーできるようにするため
特に雨上がりのぬかるんだフェアウェイや、冬場の寒さで芝の状態が悪い時期には、ボールが泥に埋まりやすくなります。そうした状況で通常通りプレーすると、コースを傷めたり、プレーヤーにとって極端に不利なプレー環境になったりするため、このルールが適用されるのです。
プリファードライが適用される条件とエリア
コースコンディションが悪い時の適用例
プリファードライが適用される典型的な状況は以下のとおりです:
- 大雨の後でコースがぬかるんでいる時
- 冬場で芝の状態が悪く、地面が凍っている時
- コース改修中で一部のエリアの状態が悪い時
- 朝露が多く、地面が非常に湿っている時
これらの状況では、コース管理者やコンペの主催者の判断でプリファードライが採用されることがあります。
適用可能なエリア(フェアウェイのみか全エリアか)
プリファードライが適用されるエリアはコースによって異なります。
適用エリア | 内容 | よくある状況 |
---|---|---|
フェアウェイのみ | 芝を短く刈ってある区域のみ適用 | 最も一般的な適用範囲 |
ジェネラルエリア全域 | ラフを含む全エリア(バンカーやグリーン以外) | コース全体の状態が悪い時 |
特定ホールのみ | 状態が特に悪いホールだけ適用 | 一部ホールのみが工事中や浸水している時 |
コンペなどでは開始前に「本日はフェアウェイのみプリファードライです」などとアナウンスされますので、必ず確認しましょう。
許可される移動範囲(6インチ・ワンクラブレングスなど)
ボールを動かせる距離も、設定によって異なります。
移動距離 | 目安 | 特徴 |
---|---|---|
6インチ以内 | 約15cm | 最も一般的、スコアカードの長さ程度 |
ワンクラブレングス | 約1m前後 | より寛容なルール、コンディションが特に悪い時に適用 |
スコアカード1枚分 | 約9cm | 厳格なルールを採用する場合 |
移動距離についても必ず事前確認することが大切です。
プリファードライの正しい適用手順
ボールをマークする方法
プリファードライを適用する最初のステップは、ボールの位置を正確にマークすることです。
- ボールの後ろ(ホールと反対側)にティーやコインなどのマーカーを置く
- マーカーの位置をしっかり覚えておく
マークをしないでボールを拾い上げると、1打罰が科されるので注意しましょう。
正しいボールの拾い上げ方
ボールをマークした後は、以下の点に注意して拾い上げます:
- 必ず手で拾い上げる(クラブでボールを転がすのはNG)
- ボールを優しく拾い、コース面を傷つけないようにする
- 拾い上げる前に「プリファードライを使います」と同伴者に一言伝えると親切です
ボールのプレース方法と注意点
ボールを拾い上げたら、次のように正しくプレースします:
- ボールの汚れを拭き取る
- マークした位置から許可された範囲内(例:6インチ以内)で
- ホールに近づかない位置に
- バンカーやペナルティエリアの外に
- ボールを優しく置く(ドロップではない)
ボールをプレースした後、そのボールが動いても罰はありません。その場合は、あるがままにプレーするか、もう一度置き直すことができます。
違反となる適用例と罰則
プリファードライの適用で違反とされる例と罰則は以下の通りです:
違反例 | 罰則 |
---|---|
マークせずにボールを拾い上げる | 1打罰 |
クラブでボールを転がして動かす | 1打罰 |
ホールに近づく位置にプレースする | 2打罰 |
バンカー内でプリファードライを使用 | 2打罰(適用外エリアでの使用) |
許可された範囲を超えてボールを動かす | 2打罰 |
ルールを正しく理解して、罰を受けないようにしましょう。
プリファードライと混同されやすいルール
プリファードライとリフト&クリーンの違い
プリファードライとよく混同されるのが「リフト&クリーン」です。
ルール | ボールの拾い上げ | 戻し方 | 目的 |
---|---|---|---|
プリファードライ | 可能 | 指定範囲内にプレース | ライの改善 |
リフト&クリーン | 可能 | 元の位置に正確にリプレース | ボールの洗浄のみ |
リフト&クリーンでは、ボールの位置を改善することはできません。単にボールを拾い上げて拭き、元の同じ位置に戻すだけです。
公式ルールとローカルルールの関係
プリファードライは公式のゴルフルールには含まれておらず、あくまでローカルルールとして採用されるものです。
- 公式ルール:R&AとUSGAが定める正式なゴルフのルール
- ローカルルール:コース特有の状況や一時的な状況に対応するためのルール
プリファードライはコースのコンディションが悪い時のみ臨時に採用されるローカルルールであり、ゴルファーが自己判断で適用することはできません。
プロとアマチュアの大会での取り扱いの違い
プロとアマチュアの大会では、プリファードライの扱いが異なる場合があります。
- プロトーナメント:極めて悪いコンディションの場合のみ採用(稀)
- アマチュア大会:比較的緩やかな基準で採用されることが多い
- 一般プレー・コンペ:より柔軟に採用される傾向
プロトーナメントでは「球はあるがままにプレーする」という原則を重視するため、プリファードライの採用は限定的です。一方、アマチュアの大会やカジュアルなプレーでは、プレーの楽しさを優先してより柔軟に採用されることが多いでしょう。
初心者ゴルファーのためのプリファードライ活用法
コースコンディションに応じた対応方法
初心者の方がプリファードライを活用する際のポイントをご紹介します:
- 雨の日はボールに泥がつきやすいので、適用されていれば積極的に活用しましょう
- フェアウェイのディボット(芝がえぐれた跡)にボールが入った時は、プリファードライが適用されていれば動かせます
- コンディションが悪くても、バンカーやラフなど適用外エリアでは使用できない点に注意
同伴者とのルール確認のポイント
同伴者とトラブルにならないよう、以下のポイントを押さえておきましょう:
- ラウンド開始前に「今日はプリファードライを採用するか」を確認
- 適用エリアと移動範囲についても明確にしておく
- 初めて一緒にプレーする方とは特に丁寧に確認
プライベートラウンドでの適切な活用
友人同士のプライベートラウンドなら、以下のような柔軟な対応も可能です:
- 初心者を含むグループなら、より寛容なルール(全エリアでのプリファードライなど)を採用
- スコア競争ではなく楽しむことが目的なら、悪いライからは全員がプリファードライを使えるようにする
- ただし、ハンディキャップを取得するためのラウンドなどでは公式ルールに従う
楽しくゴルフをプレーすることと、ルールを尊重することのバランスを取ることが大切です。
プリファードライに関するよくある質問
プリファードライは自分たちで採用してもいいの?
プライベートラウンドであれば、同伴者全員の同意があれば採用可能です。ただし、以下の点に注意しましょう:
- 競技やハンディキャップに関わるラウンドでは独自判断で採用できない
- コース側が「本日はプリファードライ禁止」と指定している場合は従う必要がある
- 全員が同じ条件でプレーすることが公平性の観点から重要
ボールを拭くだけの場合もマークは必要?
はい、必要です。プリファードライもリフト&クリーンも、ボールを拾い上げる前には必ずマークが必要です。マークせずに拾い上げると、1打罰の対象になります。
プリファードライは正式なゴルフルールなの?
プリファードライは正式なゴルフルールには含まれていない「ローカルルール」です。コースコンディションの悪化など特別な状況に対応するために、コース管理者や競技委員会が一時的に設けるルールです。
まとめ:プリファードライを正しく理解してゴルフを楽しもう
プリファードライは、悪天候時など特殊なコースコンディションに対応するためのローカルルールです。初心者の方でも以下のポイントを押さえれば安心です:
- ボールを拾う前に必ずマークする
- 許可された範囲内(一般的に6インチ)でホールに近づかないようにプレースする
- フェアウェイのみか全エリアか、事前に適用範囲を確認する
- リフト&クリーンとの違いを理解する(位置の改善ができるかどうか)
- プロトーナメントとアマチュアの大会では扱いが異なる場合がある
プリファードライを正しく理解し、状況に応じて適切に活用すれば、より快適で楽しいゴルフライフを送ることができるでしょう。
ゴルフペディア編集部では、これからもゴルフ初心者の皆さんに役立つ情報を発信していきます。次回のラウンドでぜひ今回の知識を活かしてみてください!