ハンドファーストとは?初心者にもわかりやすく解説
ゴルフの上達を目指すなら、必ず耳にする「ハンドファースト」という言葉。レッスンプロや経験者から「ハンドファーストで打とう」とアドバイスされても、初心者の方は「そもそもハンドファーストって何?」と疑問に思うことでしょう。
本記事では、ハンドファーストの基本的な意味から、得られる効果、正しい打ち方、そして効果的な練習法までを詳しく解説します。
これを読めば、あなたも明日からのゴルフが変わるはずです!
ハンドファーストの基本的な意味と重要性
ハンドファーストとは、アドレス時やインパクト時に「手(グリップ)がボールよりも前(ターゲット側)に位置している状態」を指します。
簡単に言えば、ボールを打つ瞬間に、あなたの手がボールより先に進んでいる状態です。これはゴルフの基本中の基本で、正しいインパクトを作るために欠かせない要素なのです。
初心者の方は、ボールを上げようとして手首を使って「すくい打ち」をしがちですが、これはハンドファーストとは逆の「ハンドレイト」と呼ばれる状態になります。
アドレス時とインパクト時のハンドファーストの違い
ハンドファーストは、構えるときと実際にボールを打つときの両方で重要です。
アドレス時のハンドファースト
- グリップがボールより前に位置している状態
- 左手首からクラブシャフトが一直線になっている
- グリップエンドが体の中心ではなく、左足の内側を向いている
インパクト時のハンドファースト
- 手がボールより前に位置したままボールを捉える
- クラブヘッドが手に追いついていない状態でボールを打つ
- 体の回転と腕の動きが連動してハンドファーストの形が自然に作られる
アドレス時にハンドファーストの姿勢を作っておくことで、インパクト時にも同じ形が作りやすくなります。
ハンドファーストとハンドレイトの比較
ハンドファーストとハンドレイトの違いを表で比較してみましょう。
比較項目 | ハンドファースト | ハンドレイト |
手の位置 | ボールより前 | ボールと同じか後ろ |
クラブフェース | ロフトが立つ | ロフトが寝る |
打球の特徴 | 低い弾道で飛距離が出る | 高い弾道で飛距離が出にくい |
よく起こるミス | フック、ダフリ | トップ、スライス |
プロ・上級者の傾向 | ほとんどがハンドファースト | ほとんどいない |
ハンドレイトでは、ロフトがそのまま活かされるため初心者は球が上がりやすいと感じますが、飛距離が出なかったりミスショットが増えたりするデメリットがあります。
ハンドファーストで得られる3つの効果
飛距離アップが期待できる理由
ハンドファーストでボールを打つと、クラブフェースのロフトが立った状態でインパクトするため、ボールの初速が上がり飛距離アップにつながります。
ロフトが立つことで、無駄に高い弾道にならず、よりボールの運動エネルギーが前方向に使われるのです。特にアイアンショットでは、ダウンブローでボールを捉えることになるため、ボールがしっかり圧縮され、飛距離が伸びます。
また、ハンドファーストによってスイング軌道がインサイドアウトになりやすいため、ドロー回転がかかり、着地後のランも稼げます。
スイング軌道が安定する仕組み
ハンドファーストを意識することで、スイング軌道が自然とインサイドアウトになりやすくなります。これは、腕と体の連動性が高まるからです。
インサイドアウトの軌道になると、クラブヘッドが理想的なパスでボールに当たるため、方向性が安定します。また、クラブの最下点がボールよりも前になるため、ダフリなどのミスも減少するでしょう。
さらに、フェースのローテーションも自然に行われるようになり、フェースコントロールが向上します。
ミスショットが減少するメカニズム
ハンドファーストでのインパクトは、ボールをクリーンに捉えやすくなります。特に重要なのが「インパクトゾーンの拡大」です。
ハンドファーストの状態では、クラブヘッドの最下点がボールよりも前にくるため、ボールに対してダウンブローで当てることになります。これにより、芝の上にあるボールをクリーンに捉えやすく、ダフリが減少します。
また、インパクト時の姿勢が安定するため、フェースの向きもコントロールしやすくなり、左右のブレが少なくなります。
正しいハンドファーストの構え方と打ち方
アドレス時の正しいハンドファーストの作り方
正しいハンドファーストの構えは、ショットの土台となる重要な要素です。アドレス時のポイントは以下の通りです。
- グリップの位置: 左手のグリップは左足の内側に位置するようにする
- グリップエンドの向き: 左足の付け根あたりを指すように構える
- 左腕とシャフトの関係: 小文字の「y」のようになるよう、一直線に保つ
- 体の向き: スタンスをしっかり取り、肩・腰・足が平行になるようにする
- ボールの位置: クラブに応じた適切な位置にセットする
クラブによってハンドファーストの度合いは変わってきます。一般的にはアイアンが最もハンドファーストの度合いが大きく、ドライバーでは控えめになります。
インパクト時に意識すべきポイント
インパクト時のハンドファーストを作るためには、単に手先の動きだけでなく、体全体の使い方が重要です。
- 左足への体重移動: ダウンスイングで体重を左足に移し、左足を軸にする
- 腰の回転: 左腰を引くように回転させ、クラブヘッドが自然と後から来るようにする
- 手首の使い方: インパクト直前まで手首のコックを維持し、リリースのタイミングを遅らせる
- 前傾姿勢の維持: 体が起き上がらないよう、インパクトまで前傾姿勢を保つ
- フェースローテーション: 左手首を返す動きで、適切にフェースを閉じる
手だけでハンドファーストを作ろうとすると、体の動きと分離してかえってミスショットの原因になります。体とクラブが一体となった動きを意識しましょう。
体重移動と体の回転で作るハンドファースト
ハンドファーストは、正しい体重移動と体の回転によって作られます。多くの初心者は手だけで形を作ろうとしますが、これは避けるべきです。
体重を左足に移動させながら、左腰を回転させることで、自然と手が先行し、クラブヘッドが後から来るハンドファーストの形が完成します。特に、左腰をターゲット方向に引くような意識が効果的です。
インパクト前後では、腰を積極的に回転させて手元のスペースを確保し、クラブを振り抜くことも大切です。



アドレスでハンドファーストを作るときは、グリップエンドが左足の内側を向くようにするのがコツだよ!
ハンドファーストができない4つの原因と対処法
原因1:手だけで形を作ろうとしている
多くのゴルファーが陥りがちな間違いは、体の使い方を無視して手だけでハンドファーストを作ろうとすることです。これでは安定したインパクトが作れません。
対処法:
- 体と腕を一体として動かす練習をする
- 体の回転を意識したハーフスイングで練習する
- 腰の回転を促す「左腰引き」のドリルを行う
手だけで形を作るのではなく、体の回転によって自然と手が先行する感覚をつかみましょう。
原因2:体重移動ができていない
ダウンスイングで適切に体重を左足に移動できていないと、ハンドファーストの形が作れません。右足に体重が残ったままだと、クラブヘッドが先行してハンドレイトになりがちです。
対処法:
- 左足に体重を乗せる練習を繰り返す
- 左足1本で素振りをする練習
- ステップドリルで体重移動の感覚をつかむ
左足への体重移動ができると、自然と手が先行し、クラブヘッドが後から来るようになります。
原因3:前傾姿勢が保てていない
インパクトに向かって体が起き上がってしまうと、腕が伸びてハンドファーストの形が崩れます。これは「立ち上がり」と呼ばれるミスの原因です。
対処法:
- インパクト時の前傾角度を意識する
- 背中に棒を当てて素振りし、前傾姿勢を維持する
- 鏡で横から見た姿勢をチェックする
前傾姿勢を維持することで、適切な体の回転が可能になり、ハンドファーストでボールを捉えられるようになります。
原因4:クラブ選びが適切でない
使用するクラブによっても、ハンドファーストの作りやすさは変わってきます。特にシャフトが硬すぎる場合や、クラブの長さが合っていない場合に問題が生じます。
対処法:
- 自分のスイングスピードに合ったシャフトを選ぶ
- クラブフィッティングを受ける
- 初心者はフレックスの柔らかいシャフトから始める
適切なクラブを使うことで、無理なくハンドファーストの形を作れるようになります。



最初はハンドファーストの感覚がつかめなくて苦労したんだけど、体の使い方が大事なんだね!
初心者でもできるハンドファーストの練習法
自宅でできる壁を使った練習ドリル
自宅での練習に最適なのが「壁ドリル」です。この練習法は、ハンドファーストの感覚を身につけるのに非常に効果的です。
練習方法:
- 壁から適度な距離に立ち、通常のアドレスをとる
- クラブを持ち、壁に向かってスイングする
- もしハンドレイトならばグリップが壁に先に当たり、ハンドファーストならばクラブヘッドが先に当たる
- 何度も繰り返し、手がボールより前でインパクトする感覚を身につける
この練習では、自分のスイングがハンドファーストになっているかを客観的に確認できます。
左手片手打ちで身につける正しい感覚
左手片手打ちは、プロゴルファーも取り入れている効果的な練習法です。
練習方法:
- 左手だけでクラブを持つ
- ハーフスイングくらいの振り幅で打つ
- 体の回転を使って打つことを意識する
- 少しずつ振り幅を大きくしていく
左手だけでボールを打つには、自然とハンドファーストの形を作る必要があります。これにより、正しい体の使い方と手の位置関係を体感できます。
2つのボールを使った練習方法
ハンドレイトを修正するための効果的な練習方法として、2つのボールを使ったドリルがあります。
練習方法:
- 通常のアドレスでボールをセットする
- もう1つのボールを右足の外側のラインに置く
- スイングして打つ
- ハンドファーストができていれば前のボールだけが打てる
もしハンドレイトになると、後ろに置いたボールにもクラブが当たってしまいます。この即時フィードバックがハンドファーストの習得に役立ちます。
ハーフスイングからステップアップする方法
初心者がハンドファーストを身につける最も効果的な方法の一つが、小さいスイングから始めることです。
練習方法:
- まずはハーフスイング(9時〜3時)で練習する
- 腕ではなく体の回転を意識してスイングする
- 小さなスイングでハンドファーストの感覚をつかむ
- 徐々にスイング幅を大きくしていく
小さなスイングであれば余計な動きが少なく、基本的な動作に集中できるため、正しい感覚を身につけやすくなります。



左手片手打ちの練習は特におすすめ!自然とハンドファーストの感覚が身につくよ。
ハンドファーストが原因で起こるミスショットと修正法
フックボールが出る場合の原因と対策
ハンドファーストを意識しすぎると、フックボールが出やすくなります。これは主に以下の原因で発生します。
- ハンドファーストの度合いが強すぎる
- フェースの返りが早すぎる
- インサイドアウト軌道が強すぎる
修正ポイント:
- アドレス時のハンドファーストを少し控えめにする
- グリップを若干弱めにする
- 腕と体の連動を意識し、タイミングを合わせる
ハンドファーストの度合いをコントロールして、適度な形を作ることが大切です。
スライスやシャンクの修正ポイント
ハンドファーストを意識していてもスライスが出る場合は、以下の原因が考えられます。
- 体の開きが早い
- 手だけでハンドファーストを作ろうとしている
- 左足への体重移動が不十分
修正ポイント:
- 腰の回転を遅らせ、適切なタイミングでリリースする
- 右肩が前に出ないように注意する
- 左足にしっかり体重を乗せ、左足を軸にして回転する
シャンクの場合は、インパクト時にクラブが外に逃げている可能性が高いので、体の回転を使ってクラブパスを内側から外側へ誘導することが大切です。
ダフリやトップが出るときの調整方法
ハンドファーストを意識してもダフリが出る場合は、以下の要因を確認しましょう。
- 右足に体重が残っている
- 手元が先行し過ぎている
- ボールの位置が適切でない
修正ポイント:
- 左足への体重移動を意識する
- 手と体の動きを同調させる
- ボールの位置を適切に調整する
トップの場合は、ハンドファーストを意識するあまり上半身が起き上がってしまっていることが多いので、前傾姿勢を維持することに注意しましょう。
クラブ別のハンドファーストの違いと適切な使い分け
ドライバーでのハンドファーストの考え方
ドライバーは他のクラブと比べて、ハンドファーストの度合いを控えめにするのが一般的です。
ドライバーでのハンドファーストのポイント:
- アドレス時は軽いハンドファーストまたはニュートラルに近い状態
- アッパーブローで打つため、インパクト時のハンドファーストは控えめに
- ボールはやや前めに置き、スイングの上昇局面で捉える
強すぎるハンドファーストはドライバーのロフトを立てすぎ、低い弾道を生み出し飛距離ロスの原因になります。
アイアンで効果を発揮するハンドファーストのコツ
アイアンショットではハンドファーストが最も効果を発揮します。
アイアンでのハンドファーストのポイント:
- アドレス時にしっかりとハンドファーストの形を作る
- ダウンブローで打ち込み、ボールの後ろの芝を削る感覚
- クラブ番手が上がるにつれて、ハンドファーストの度合いを強くする
アイアンはダウンブローでボールを捉えることで、適切にスピンがかかり、コントロール性と飛距離を両立できます。
ウェッジショットでの適切な調整法
ウェッジショットでは、状況に応じてハンドファーストの度合いを調整することが重要です。
通常のウェッジショット:
- アイアンと同様にしっかりとハンドファーストで構える
- 鋭角に打ち込むことで、適切なスピン量を生み出す
バンカーショット:
- ハンドファーストの度合いを弱める、またはニュートラルに近い状態
- バウンスを活かすために、ロフトを寝かせ気味にする
ロブショット:
- ハンドレイトに近い形で構え、フェースを開く
- ボールを高く上げるために、ロフトを最大限に活用する
状況に応じてハンドファーストの度合いを調整することで、様々なショットに対応できるようになります。



アイアンとドライバーでハンドファーストの強さを変えるべきなの?



そうだよ!ドライバーは少し緩めに、アイアンはしっかりとハンドファーストを作るのが基本だね。
ハンドファーストを極めてゴルフ上達への近道に
プロゴルファーから学ぶハンドファーストのポイント
プロゴルファーのスイングを観察すると、ほぼ全員がハンドファーストを実践していることがわかります。
彼らに共通するのは、単に手元を先行させているだけでなく、体の回転と腕の動きが完璧に同調していることです。特に下半身主導のスイングから生まれる自然なハンドファーストが特徴的です。
タイガー・ウッズやダスティン・ジョンソンなどのトッププロは、左腰を積極的に回転させることで、自然とハンドファーストの形を作り出しています。彼らのスイング動画を研究することも、上達への近道になります。
実践で活かせるハンドファーストの応用テクニック
ハンドファーストの基本を身につけたら、応用技術も習得していきましょう。
ハンドファーストの度合いを調整する技術:
- 風の強いコンディションでは、ハンドファーストを強めにして弾道を抑える
- 短い距離を正確に打つには、ハンドファーストを強めてスピン量を増やす
- 長い距離を飛ばすには、適度なハンドファーストで最適な打ち出し角を作る
また、ハンドファーストを維持したまま様々なショットを打てるようになると、あらゆる状況に対応できるゴルファーになれます。
ハンドファーストで変わるあなたのゴルフライフ
ハンドファーストを正しく身につけることで、ゴルフライフは大きく変わります。
まず、飛距離が伸びて同伴者に驚かれるでしょう。さらに、ミスショットが減ってスコアが安定し、コースマネジメントの幅も広がります。
「ハンドファースト」は単なるテクニックではなく、正しいゴルフスイングの根幹を成す要素です。今回紹介した練習法を継続して行い、正しいハンドファーストを身につけましょう。
そうすれば、あなたのゴルフ人生はより楽しく、充実したものになるはずです。ゴルフを始めたばかりの初心者の方も、長年のアマチュアゴルファーも、「ハンドファースト」はスコアアップの鍵を握っています。